AMDのAPU、Ryzen 5 Pro 3400GEを搭載したミニパソコン、Lenovo ThinkCentre M75q-1を購入しました。AMDのRyzen Proを搭載したパソコンはPro版のみが先行で市販された第3世代Ryzen以外は、LenovoとHP以外はほとんど販売していません。HP(ヒューレットパッカード)もデスクトップのラインナップはないので、ほぼLenovoしかありません。
Ryzen Proは、AMD Pro機能を搭載しています。AMD ProはIntel vProとほぼ互換の機能を有していますが、あまり使われていないのか情報を探してもなかなか見つかりません。
AMD Pro機能
AMD Proは、Intel vPro互換で、
- メモリー内暗号化(AMDメモリーガード)
- 管理ツール
が主な機能です。
AMDメモリーガードは、スリープ中にはメモリー内データが残っているので、データ漏洩の原因になりうるということで、メモリーを暗号化してシステム外からの不正アクセスから守る、というもののようです。
管理ツールは、電源管理・ファームウェア更新、リモートアクセス等の機能をできるものです。AMDのウェブサイトには、
簡単な展開、イメージング
と書かれていますが、少なくとも標準で提供されるツール「AMD Management Console」ではできそうにありません。
AMDの提供するツールは、スタンドアロンのAMD Management Console(AMC)とコマンドラインツール以外に、Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM) のプラグインがあるので、そちらでの対応かもしれません。

この、Microsoft SCCMですが、最近名前が変わり他のツールと統合されて(?)Microsoft Endpoint Configuration Managerとなっています。さらに統合されて、Microsoft Endpoint Managerとなり大企業向けっぽいです。
AMC AMD Management Console
使用してみました。まず、コントロールされるコンピューターにRealtekのドライバーとクライアント(Reaktek Dash Client)が必要です。
Lenovo以外のものが私の検索では見つかりません。クライアント上では、接続しているネットワークカードごとにDASH対応しているかどうかが確認できますが、標準装備のネットワークカード以外ではONの設定がないようです。
M75q-1はドライバーもクライアントも最初から入っているようです。バルクで購入したRyzen CPUで組んだシステムでは、これらのツール群は使えるのでしょうか?何となく使えそうではありますが、微妙です。まだ発売されていないThinkCentre M75q Gen2のドライバもダウンロードできるようになっていました。発売が楽しみです。
設定はトリッキー
まず、管理対象のパソコンを検出するステップから入ります。ここで、まずConfigurationをしないといけませんが、ここがかなりトリッキーです。
認証情報のところに、USERNAMEとPASSWORDを入れる必要がありますが、ここにはWindowsの管理者パスワード、BIOS起動パスワード等ではなく、RealtekのDASHツールのUSERNAMEとPASSWORDを入れる必要があります。
- USERNAME:Administrator
- PASSWORD:Realtek
です。わからなくて、のらねこ!さんのツイッターをみてわかりました。
AMCを起動、初期の設定で以下の通りに行なう
user: Administrator
password: Realtek
※両方とも記載通り入力
Scheme:DigestManagement Transportはどっちでもよい pic.twitter.com/AVpoP483er
— のらねこ! (@ragemax) January 4, 2020
電源管理は簡単
設定さえできれば電源管理は簡単です。
POWERのところから起動できます。レスポンスはとても早くて良いです。
リモートデスクトップは挙動不審
リモートデスクトップは、インストール当初は無事に使えましたが、他のツールとの競合なのか理由はわかりませんが動かなくなってしまいました。動いていた時はレスポンスが非常によく、とても使える感じだったのですが・・・。
BIOS設定は画面が崩壊
BIOSを起動することもでき、画面が表示されます。ただ、画面が崩れてしまっていて設定は困難です。
ただ、マウスやキーボードは動いているのでメニューを熟知していれば、あるいは操作できるかもしれません。ここの画面はリモートデスクトップになっているので、クライアントPCの何かが阻害している感じなのでしょうか・・・。
Realtek謹製ツールは微妙
上記のらねこ!さんのツイートにあった、Realtekのツールも試してみましたが、エンドユーザー向けではなく開発者向けのようです。シンプルなツールですが、データを保存してクリックするだけで操作できるとか、そういう配慮がなく、AMCのほうが使いやすいですね。
結構よさそうだが要注意
電源管理にはかなり良さそうではあるのですが、認証がないツールなのにも関わらず、クライアント側のドライバーとBIOS設定がされていてツールがインストールされていれば、問答無用で電源OFFやリモートデスクトップが接続できます。
悪意のユーザーがいないことを信じて、使うしかないのですが、コマンドラインツールを使えば、一台を起動したら他も連動して起動させるということができそうですね。
AMD Proのネーミングは正直やめてほしい
Intel vProとほぼ同等機能のAMD Proですが、このネーミングは正直勘弁してほしいです。
AMD Proで検索しても全然ヒットしません。「Pro」って一般的に使用される用語だし、Ryzen Pro、Radeon Proと単語が被るので検索しにくいです。場合によっては、Windows 10 ProのProが引っかかってしまうことも・・・。
この点、言葉的には近いし見て意味が分かるけれど、検索しやすい「vPro」という単語にしているインテルは上手くやっています。
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