卓球の補助剤(ブースター)問題

卓球

オリンピック代表だった水谷隼選手が問題提起して大会をボイコットした、補助剤問題というものがあります。

日本卓球ルールでは、「後加工の禁止」として記述されているものですが、そもそもルールが守らせる気がないので、個人的には無意味なルールと感じます。ただ、自分の競技レベルで使用する意味はないので使いません。

日本卓球ルールは?

基本的には

  1. ラバーを貼る際に使用する接着剤を日本卓球協会公認のものを使う
  2. それ以外のものは使用しない
  3. ラバー表面に加工しない

のが「後加工の禁止」ルールに沿っていると解釈されているように思います。

日本卓球ルールの該当部分

競技規則
公益財団法人 日本卓球協会のウェブサイトです。

1.4.7 ラケット本体を覆うラバーは、物理的処理や化学的処理などをほどこすことなく、使用されなくてはならない

2.2.1.4.3.6  …指の当たる部分を避けて貼ることができる。またラバーの指の当たる部分がわずかに損傷した場合については、審判長が打球に影響がないと判断した場合のみ、そのまま使用できる

2.2.1.4.3.7 …ゴム層とスポンジが一体のものとして公認されているので、これを剥がして再加工したり、別途に独自に貼り合わせ加工したりして作られたものは使用が許可されない

2.4.2.2 ラケット本体を覆うラバーは、その摩擦特性、外見、色、構造、表面の競技性能に、物理的、化学的その他の処理による変化、修正を与えることなしに、JTTAあるいはITTFに公認された状態で使用されなくてはならない。また、特に添加物は使用できない

ラバー表面の滑り止め

私はラバーが手汗で滑るのが嫌なのでYoutubeで見た方法を試したら、「ルールに抵触する」と審判長に言われたことがあります。

一番明らかに解釈できそうな部分ですが、こんなところでも違うようです。ラバーに傷をつけるのも、アームストロングのシートを張るのもダメ!と言われました。全国大会に出ているような人のYoutubeで本部確認したらしいので、たぶん伴誠也コーチ(Youtubeのチャンネル主)が正しいのだと思いますが、試合では「審判長」判断に依るしかないないのでどうしようもありません。私は明らかに指の場所だと思ったのですが、審判長によるようです。

表面の加工って何?

そもそも、表面の加工に関して、粘着ラバーの粘着をとったり、粘着保護シートで粘着を増やしたり、というのが普通に行われているように、(Youtuberの投稿を見ていると)思いますし、使っているうちに粘着が取れたり、グリップ力が落ちたり、性能が劣化していくのは普通にあると思います。

スポンジは?

スポンジは一体で承認されているということになっていますが、なんでもありな中国ラバー以外でも、スポンジの厚さは様々のものが同じ承認で販売されていますし、スポンジなしのものもあります。

貼り方?

日本卓球ルールだと

  1. 日本卓球協会公認の接着剤もしくは接着シート用いること
  2. 添加剤を使ってはいけない

が決められています。他は、国際ルールと同じくVOC(揮発性有機化合物)フリーであること、合計4mm以下であることも規定されています。

厚塗りで何度も接着剤を塗ることは禁止されていませんが、その結果4mmを超えると違反になります。もう一つ、ものすごく引っ張ってテンションをかけて貼ることも禁止されていません。(たぶん)

レギュレーション

一般大会なら、

  1. ラケットに日本卓球協会公認表示(JTTAA)されている
  2. ラバーがITTF公認もしくは日本卓球協会公認のもの
  3. ラバー表面の見た目+厚さが均一

なら問題なく使用でき、レギュレーションがかかるような大会では、

  1. VOC検査
  2. 厚み検査

も加わる感じで、

  • ラケットに日本卓球協会マークがない場合は、審判長チェックを経て使用できる(場合が多い)
  • ラバー表面が傷んでいる場合は、審判長チェックにかかる

ようになっています。

公認接着剤を使用したかどうか、ラバーが承認時のものと同じものかどうか、補助剤等が使用されていないか、の検査も確認もありません。

国際卓球ルールは?

Document | International Table Tennis Federation

2.4.7 The racket covering shall be used without any physical, chemical or other
treatment.

2.4.7.1 Slight deviations from continuity of surface or uniformity of colour as well
as helpful or protective fittings may be allowed provided that they do not
significantly change the characteristics of the surface.

3.4.2.2 The racket covering shall be used as it has been authorised by the ITTF
without any physical, chemical or other treatment, changing or modifying
playing properties, friction, outlook, colour, structure, surface, etc.; in
particular, no additives shall be used.

基本的には日本卓球ルールから日本卓球協会公認の記載を除いたものと近いですが、ラバーのスポンジに関する規定が(恐らく)ありません

スポンジの規定?

海外掲示板を見ていると、ラバーシートは承認された状態から改変してはいけないが、スポンジはそもそも規定されていないのだから関係ない、とか、補助剤を使った場合にラバーシートに影響しないはずはないからダメだろう、といった意見が交わされていました。

補助剤(ブースター)の販売

日本よりも大っぴらに売られています。

Falco Long booster 150ml
Falco Tempo long Booster is an alternative to speed glue. It is VOC-free and compliant with ITTF regulations. Boosters are not glues so water-based glue is s...

販売ページに、「compliant with ITTF regulations」とドーンと書かれて売られていました。別商品のページには、4mm超えたらいけないので注意、と記載されています。

補助剤は結局どうなんだろう。

ルール違反だからダメだという意見は尤もだと思います。補助剤効果が内蔵された已打底ラバーやテンション加工をしたラバーが良いのだから、補助剤を使うのに何が悪いのかという意見も尤もです。

使ってはいけないと一応規定はあるが罰則も検出方法もない、それを使ってどうなるのだというのもわかります。

補助剤効果

補助剤は硬いラバーを「break in」させることで柔らかく反発力が上がるその他の効果がどうもあるようなのですが、日本のテンションラバーよりは硬くて扱いづらい中国ラバーに行うと効果が高い、らしいです。ラバーによっては、補助剤を使って弾みを補って使う前提の硬さになっていると言われることもあります。

私も最近ついでに買った中国ラバーが弾まなさ過ぎて愕然としました。最近使用した天極3-60、狂飙シリーズ(3-50、8-80、8、9)はテンションラバーと比べると弾まないと言われますが、それと比べ物にならない弾まなさでした。

ドイツ製ラバーは値上げの嵐でなんだかな―という感じだし、日本製ラバーはバタフライは消耗品にしては高すぎて手を出したくないし。カチカチの中国ラバーを少し弾むようにして使用するのには良いのかもしれません。(自分ではまだ使ったことはありません)

ルール改訂してほしい

中国ラバーも高級グレードは結構弾みが良いようなので、選手用グレードは「自分で」補助剤を塗らなくても弾むんだろうなと思うと、日本卓球ルールの規定がむなしく見えます。

接着剤厚塗りも弾む効果を期待したり打球感の改善を求めてやるものだし、スポンジの効果を変えてるじゃないか、補助剤とどう違うんだと言われたら言い返すすべがありませんし、そもそもテンションラバーも工場で弾む加工を行ったスポンジなので、禁止にするのは競技の面白みを一気に失わせると思います。いっそ解禁してもらったほうがすっきりすると思うのですが。

もしくは、接着剤を全部禁止にして接着シートのみにするとか、スポンジまで一体に公認するなら、厚みが違ったり別のスポンジを使用した製品を発売しないで、とか。

結局なあなあで終わる感じ

水谷選手がボイコットをした時も特に何も反応はなかった(まあ当然だとは思いますが)ですし、ルールが規定されてから10年以上たちますが、検出する気も何もないまま来ているのは、改訂することなく、次世代技術が出てきたりして卓球が大きく変わるまでこのままなのだろうなと思います。

接着補助剤、国内は10月1日から使用禁止に ~日本卓球協会が発表~|卓球レポート
「接着補助剤、国内は10月1日から使用禁止に ~日本卓球協会が発表~」の記事詳細。強くなるためのポイントが満載の卓球情報サイト「卓球レポート」の公式サイトです。世界卓球や全日本卓球などの速報も配信しています。

そもそも、補助剤を使ったからと言って、(工場で同じものを使っても問題ないこともあり)何か共通のものが検出されることはないので、禁止を徹底するのは無理ですし。

こういう点が卓球界の嫌いな部分ですね。

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