仮想専用サーバーVPSを比較検討(2023年4月)

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レンタルサーバーよりも自由度の高い選択肢として、仮想専用サーバー(VPS)があります。レンタルサーバーほどではないですが、色々なブランドがあるので、日本国内の業者を比較検討してみます。Linuxサーバーが欲しいので、Linuxのサービスだけ見ていきます。

VPSとレンタルサーバーの違い

VPSは仮想プライベートサーバー(Virtual Private Server)の略で、物理サーバーの中に独立してインストールされたOSを基本的には自由にして良いというサービスです。

一方のレンタルサーバーは、英語だとweb hostingとかshared hosting serviceと呼ばれるもので、サーバー内のスペースを間借りしてウェブサイトを置くスペースを貰う形で借りるサービスです。

VPSでは割り当てられたリソースを自由に割り振る権限があるのに対して、レンタルサーバーでは割り当てられたディレクトリにファイルを置く権限と、許可されたPHPやCGIなどのプログラムを実行することができるだけです。同じレンタルサーバー内に多数の顧客が混ざるので、あまりに大量のリソースを使う人は制限されますが、レンタルサーバー業者の匙加減で色々変わります。

ただ、VPSでは自由に割り振る権限がある一方で、基本的な管理をレンタルサーバー側にやってもらえるわけではないので、やることで経験値にはなりますがやらなくてはいけないことが増えます。

WordPressだけならレンタルサーバーで十分、というか同価格帯ならWordpressの方が良い可能性も高いです。

VPSを使ってみたい理由

自宅サーバーを練習環境にして色々いじっているのですが、残念ながら自宅のインターネット環境がグローバルIPアドレスが取得できない上にIPv6サービスは提供されないものになっているので、DNS関連の色々を触りにくいのです。

使ってみたいというのもあります。

さくらのVPS

インターネット黎明期から頑張っている「さくらのサーバー」のVPSサービスです。

月額(税込)vCPUメモリSSD
6711512MB25GB
93521GB50GB
184832GB100GB
374044GB200GB
748068GB400GB
14300816GB800GB
286001032GB1600GB
  • 全てのプランで、SSD容量を倍にできる払いきりサービスがあります。(遅いやつっぽい記載です)
  • 大阪第3サーバーの価格で、東京第2サーバーだと+10%くらい、北海道の石狩第一サーバーだと-10%くらいです。
  • IPv4、IPv6をそれぞれ1つ付与

Xserver

レンタルサーバーやドメイン業者としてもよく見かけるXserverのVPSサービスです。

月額(税込み)vCPUメモリNVMe SSD
83032GB50GB
170044GB100GB
320168GB100GB
7200816GB100GB
185001232GB100GB
380002464GB100GB
  • ネットワーク帯域、共有で10Gbps、100Mbps制限あり
  • IPv4グローバルアドレス1個付与



WebARENA Indigo

docomoグループのNTTコミュニケーションズのサービスです。高額プランではネットワーク帯域が多くなり、IPv4アドレス付与がなくIPv6のみ付与の安いプランがあるのが他とちょっと違います。

また、インスタンスを破棄している時間には料金がかからない、月額上限設定付きの時間従量制です。

月額(税込)時間単価メモリvCPUSSD
2970.49768MB120GBIPv6のみ
3490.551GB120GB
6991.12GB240GB
13992.24GB480GB上限500Mbps
27984.48GB6160GB上限1Gbps
55968.816GB6320GB上限1Gbps
1119317.632GB8640GB上限1Gbps

だいたい月に636時間起動で月額上限に達するプランが多いので、一時的に起動しておくサーバーには合う気がします。また、ネットワーク帯域が上位プランで増えるのが使いやすそうですね。



ただ、DNSだったりが有料サービスだったりするので、うまく設定できる人には良いですが何もかもつけると高くなりそうです。

クラウドVPS by GMO

年間契約時のボーナスが1か月分ではなく3か月分でかなり割引幅が大きくなります。回線帯域が不明だったり、値段的にはXserverの方がいいのではと思うので、個人的には対象外です。

  • IPアドレスを1個付与、オプションで10個まで1個330円/月

IPアドレスをたくさん使える可能性があるのは良い点で、IPを複数持ちたいなら悪くないです。

ConoHa VPS

独自ドメインが2つ維持できるレンタルサーバーのConoHa WINGをちょっと使ってみたかったConoHaのVPSサービスです。

3年分の利用券購入で、40%近い割引になる他、高めになりますが時間課金のプランもあります。

月額税込メモリvCPUSSD
460512MB130GB
7631GB2100GB
12592GB3100GB
24084GB4100GB
48288GB6100GB
1072116GB8100GB
2430932GB12100GB
4861864GB24100GB
  • ネットワーク 100Mbps共有、プライベートネットワーク 1Gbps共有
  • IPv4アドレス1個、IPv6アドレス17個

ネットワークが帯域100Mbps制限ではなく、100Mbpsを共有で他より遅いです。無料SSLではないアルファSSLを割引料金で使えるプランもあります。

ABLENET VPS

老舗らしいですが、あまりよく知らないブランドのABLENETです。HDDプランもあるらしいのと、IPv6が実質無制限なのが特徴のようです。年間払いだと25%オフ程度です。

月額税込みメモリvCPUSSD
7830.5GB130GB
14761.5GB240GB
21672.5GB360GB
40124GB(増量中6GB)4100GB
66628GB(増量中10GB)5200GB
1427816GB8200GB
  • インターネット速度200Mbps共有
  • IPv4アドレス1個、IPv6アドレス65536個付与

KAGOYA Cloud VPS

よく宣伝を見かけるサーバーのKAGOYAです。SSD増量プランがかなり安いのと、時間課金ではなく月額上限ありの日単位の課金になっています。


月額税込メモリvCPUSSD
5501GB125GB
8802GB2200GB
15404GB430GB
35204GB4800GB
70408GB6800GB
2816032GB121600GB
  • IPアドレス値追加購入330円/月

とりあえずどの程度のスペック?

現在使っている、レンタルサーバーの仕様が

  • CPU不明
  • メモリ 1GBで使用中25%
  • SSD 10GBで使用中60%
  • MySQL 5GBで使用中10%

で困っていない、のですが、VPSの場合はレンタルサーバーだと共有されていると思われるプロセスも自分の領域で動かさないといけないので、多分もっとずっと必要だと思います。

自宅のテスト用サーバーを見てみると、KVMのVirt-managerで自動作成した時にvCPU 2コア、メモリ4GB、SSD 25GBですが、OS自体とコントロールパネルを入れただけでメモリ10%以上、SSDは10GB程度食われているので、少なくとも

  • vCPUは1コアでもアリ
  • メモリは2GB
  • SSDは少なくとも20GB

はないと、ウェブサーバーだけでもまともに動かない懸念があります。そうすると、

  • さくら … 1848円
  • Xserver … 830円
  • WebArena … 699円
  • ConoHa … 1259円
  • ABLENET … 2167円
  • KAGOYA … 880円(SSD200GB)

必要になるかなあと思います。ブログサイトだったらレンタルサーバーで良いので、比較してよいのかはちょっと難しいところです。

どれが良い? → 私はKAGOYA

どれも使ってみないとわからないとは思いますが、

が良さそうな候補に残りました。どれも良さそうです。
Xserver VPSもIPアドレスを追加できるかもしれませんが、KAGOYAはIPアドレスの追加契約のオプション料金が掲載されており、私の目的にはKAGOYA Cloud VPSが良さそうです。日額課金なので、トータルコストも抑えられそうなのも良いですね。

外部リンク:メモリ1GBあたりのコスパで比べたら「KAGOYA CLOUD VPS」

KAGOYAのサービスでは、特にレンタルサーバーではアダルトサイトOKという話を何度か見たことがありますが、基本的には禁止のようです。

レンタルサーバーだとアダルトサイトと共存できるサービスを使う場合、共有サーバー内にアダルトサイトがあるため、(アダルトサイトはリソースを食う場合がよくあるので)リソースの問題が起こる可能性があるようです。CDNなども一般的に使われていますし、同じIPだとSEO的に悪いということはないはずです。