2022年11月に日本でも営業していた仮想通貨業者FTXが破綻して大きなニュースになりました。仮想通貨関連の破綻といえば、2014年に破綻したマウントゴックスが思い出されますが、FTXは負債額が7兆円に上るというニュースもあり、2008年のリーマンショック級の大事件とも言われます。(リーマンブラザーズは負債66兆円だったとか)


仮想通貨改め暗号資産について、大損した人もいますが総額はものすごく増えていますので「億り人」になれた人も結構いるようです。

私は、たぶん2013年だったか2014年ごろにマイニングしてみたことはあります。が、あまりよく知りませんし、ウォレットもどこかへ消えてしまっています。今更ながら暗号資産について、また、話題のNFTとかGameFiについて調べて考察してみます。
「仮想通貨」「暗号資産」
「仮想通貨」改め「暗号資産」、「クリプトカレンシー」もしくは単に「クリプト」は基本的に同じ用語です。2008年にビットコインの理論が発表された当初、ビットコインは送信元と送信先の「ウォレット」を繋ぐ情報を保存しただけの「ブロックチェーン」でした。ビットコインは「仮想通貨」としてやり取りをするだけのものでした。
2013年から2014年にかけて登場した「イーサリアム」で分散型アプリケーションの動作をブロックチェーン上で行うことができるようになりました。イーサリウムの登場によって、自前の独立したブロックチェーンを持たない「トークン」が大量発生したり、分散型アプリケーションを動作させるのにも「イーサリアム」の通貨「ETH(イーサ)」が使われるようになりました。
英語名称は変わりませんが、日本では2019年の法改正により「暗号資産」と呼ばれるようになりました。
ブロックチェーン
暗号資産の肝の「ブロックチェーン」は、
- やり取りを記録する「ブロック」データを繋いだもの
- ブロックはどんどん足されて長くなる
- ブロックチェーン全体を解読すれば、過去のやり取りがすべてわかる
ものです。
トランザクション
やり取りは「トランザクション」でビットコインの場合は、
トランザクションとは、ビットコインの送金メッセージである。トランザクションの基本構造は、1つ以上の入力(input)と1つ以上の出力(output)から構成される。入力には送金者が以前に受け取ったトランザクションの出力への参照やデジタル署名が記載されている。また、出力には送金先の公開鍵ハッシュや送金金額といった情報が記載され、送金先の受領者しか利用できないようにロック状態になっている。送金のたびにトランザクションの出力は、次の入力に連鎖し、最後の出力がその時点の所有者の所持金となる。この時の出力は未使用の出力であり、UTXO(未使用トランザクションアウトプット:Unspent Transaction Output)と呼ばれる。このようにトランザクションは連鎖をしていて、過去に遡ると入力が空白のトランザクションに行き着く。このトランザクションをコインベース・トランザクションといい、ビットコインの通貨発行のためのトランザクションである。
ビットコインの送金をする人は、送金先や送金金額といった情報が入ったトランザクションを作成し、ビットコインのネットワークの全てのノードに送信し、検証され、ブロックチェーンに記録される。この時、入力には未使用の出力(UTXO)をロックするのに使った公開鍵に対応する秘密鍵によって生成されたデジタル署名を記載し、出力には送金先の公開鍵ハッシュと送りたいビットコインの量を指定する。それによって、出力のロック状態がアンロックとなる。UTXOのアンロックが正しく行われているのかを検証するには、UTXOのロックに利用した公開鍵によって検証できる。また複数の入力の利用は可能である。一方で入力(支払いに使用されるコイン)の合計が、意図した支払額を超えることがある。このような場合、追加の出力が使用され、お釣りが送金元に返される。取引出力に含まれない金額は、取引手数料となる。

トランザクションは送信先と、送信元暗号化のために使った秘密鍵によるデジタル署名、公開鍵のハッシュでできていて、送信元の秘密鍵を保護したまま送信元が「正しい」ことを保証しているようです。
分散型ネットワーク
ここまでのブロックチェーンでも一見良さそうですが、「ブロック」の追加をどのように行うかが問題です。
- どんなトランザクションが追加されるか?
- 誰が追加するブロックを作るか?
- 正しいブロックを追加するインセンティブはあるか?
が暗号資産ごとに異なります。ビットコインやイーサリアムなど代表的なブロックチェーンでは、ブロックチェーンの参加者からなるネットワークが自動的に決め、相互に承認します。そのため、ネットワークの過半数を1か所が握ると信頼性が大きく損なわれてしまう「51%攻撃」という事態に陥ります。
PoW(マイニング)
ブロックを追加したり承認するインセンティブとして、ビットコインの場合は、ブロックを作成した際、ブロックを「正しく作成した」と主張した参加者が新しく「マイニング」されたビットコインとネットワーク使用料(通称「ガス代」)を手に入れること、また、過半数の参加者が「正しく作成された」のを確認し、ブロックをさらに追加することで承認される、PoW(Proof of Work)システムを採用しています。
PoS(ステーキング)
イーサリアムもPoWでしたが、「ステーキング」という定期預金のようなシステムがあり、「ステーキング」した延べ時間が長いものからランダムに選ばれた一人の参加者が新しいブロックを作成し、他の参加者が正しいかを確認するPoS(Proof of Stakes)システムを採用しています。イーサリアムでは、このブロック作成・承認に参加すると報酬のイーサ(ETH)がもらえます。ただし、正しいブロックを作成するのに失敗したり承認するのに失敗した場合はステーキングしたイーサが没収されてしまうので、ネットワークに常に参加できる場合以外は取引所などに委託するほうが安全です。
ウォレット・取引所
暗号資産の財布、置き場所は「ウォレット」と呼ばれます。アドレスと秘密鍵のペアで作られているもので、どこかに送ることで取り出すことしか基本的にはできません。
物理的なデバイスに紐づけたウォレットは、通常時はインターネットに接続していない状態で管理されることが多く「コールドウォレット」と呼ばれます。一方、ウェブサービスで使ったりするものはインターネット上で作成し「ホットウォレット」になります。ホットウォレットはサービスと紐づけて交換したり何かに使用したりという用途に用いるものです。
コールドウォレット
パスワードを忘れたり、流出させたりしなければコールドウォレットのほうが安全とされています。ウォレット自体、物理的なものと紐づいている必要はなく、コールドウォレットのバックアップとして同じものを作成して二つ持つことも可能なので、USBデバイスのコールドウォレットが壊れて使えなくなるというリスクに備えられます。
コールドウォレットにもいろいろあり、例えば取引所のコインチェックでは、「コールドウォレット運用もしている」ようです。

自分でコールドウォレットを持つには、
- インターネットのできる端末を専用で使う
- ハードウェアウォレットを使う
ですが、ハードウェアウォレットが便利です。LedgerとTrezorが比較的古くから使われているデバイスなので、このあたりが良いと思います。私はLedgerをバックアップ含めて2個買って持っています。(がセットアップで終わっていますので使い勝手はよくわかりません)
取引所
日本国内、国外問わず多くの取引所があります。大きく分けて、いわゆる証券口座や銀行口座のような中央集権的と言われるCEX(Centralized EXchange:せっくす)、プロトコールが提供されているだけで基本的には個人間取引となるDEX(Decentralized EXchange:でっくす)に分かれます。
以前からDEXの人気が高くなっていたようですが、FTX破綻を受けてDEXの人気がさらに上昇しそうな感じらしいです。
基本的に個人間取引に近いので取引コストが安く済むのに加え、CEXと異なり取引が個人のウォレットで行われるため、FTXのように顧客資産を分別管理せずに取引所が破綻して資産が戻ってこない、という危険がありません。DEXには、取引所の運営するための暗号資産プールを持っていて、参加することで報酬がでるところもあるようです。(プールした資産は破綻した場合になくなると思います)

DEXの注意点としては、DEXは誰かが管理しているわけではないので、暗号資産と何かを交換することはできますが、日本円や米ドルを使って暗号資産を購入することはできません。代わりに、どこかのCEX(国内で営業許可がある暗号資産取り扱い業者)から何か仮想通貨(ビットコインやイーサリアム、リップル、もしくはステーブルコインの何か)と交換した上でDEXを利用する必要があります。
トークン
トークンは、ブロックチェーン上に載せられた何かしらの権利のことのようです。
ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)との違いが明確ではない部分もありますが、上記記事で、「ユーティリティトークン」「セキュリティ(有価証券)トークン」の分類、「ノンファンジブルトークン」(NFT)、さらにNFTと対になる「ファンジブルトークン」を見ると何となくわかります。ビットコインやイーサはブロックチェーン自体の機能で、そこにプログラマブルな要素を入れ込めません。
NFT(ノンファンジブルトークン)
どれだけのトークンを持っているかという数値だけではなく、インターネット上でユニークであることの証明として電子署名がつけられ、作成者や取引履歴が記録されるトークンです。
ツイッター創始者の初めてのツイートが高額落札!、デジタルアートの取引で高額落札!というニュースを見ることが結構あり、盛り上がっているっぽいです。
ユニークである、というのはデジタルコピーではないということと同義ではないのがちょっと乗り気になれない点です。NFTについて解説しているウェブサイト、動画サイトでは、ほぼ解説されていない、NFTのコアの部分が気になります。


私的にかみ砕くとこんな風に感じます。
- 基本的にNFTはインターネット上のアドレスを参照している
- NFTの参照先のアドレスは内容が改ざんできないプロトコール(IPFSもしくはArweave)で記載されている
- IPFSのアドレスはクラウドベースで保存、されている可能性が高く、Airweaveは200年以上保存することを条件にコストを払う
- IPFSのアドレス自体も、ガス代節約のためにどこかのストレージへのリンクであることも多い(らしい)
- 内容が改ざんできないのは、IPFSもしくはArweaveで、さらなるリンク先のことは保証されていない
- IPFSもしくはArweaveで記載されたアドレスは一意だけれど、インターネット上に他にそのアドレスを参照するNFTがないことを保証しているわけではない
- 最終的なリンク先のファイルは、プロトコールでたどることで参照できるが、参照先のデータ自体がコピーされ、別のNFTになることはできる
- NFTを発行する権利(著作権、現物の所有権)を特別な例を除くと追跡できないので、取引するNFTの本当の製作者が誰か、そのNFTを買っても意味がないかどうか、確認が困難
ということだと思います。デジタルコピーを新しく発行したり、誰かの著作物を勝手にNFTにしたり、新しいトークンの権利としてNFTが発行し完売後逐電したり、黎明期にありそうなことがあれこれ出ています。
GameFi、Play to Earn
一方、NFTを取引することで「遊んで稼げる」NFTゲームないしGameFi、Play to Earn(P2E)が続々と出ています。世界で流行っていそうなものは、特に東南アジアで流行している「Axie Infinity」です。「稼げる」を前面に出してあちこちで見かけます。
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