WordPressと違って、Joomlaは標準で多言語サイトをサポートしています。WordPressでは言語ごとに別のWordPressをインストールする方法が基本なので、いくらプラグインで補助したとしても、コンテンツの管理が非常に煩雑になってしまいます。
この点では、Joomla!は完璧とは言えないものの、WordPressとは一線を画した性能を発揮してくれます。
Joomla!の標準多言語サポート
Joomlaに標準で付属する多言語サポートは、
- コンテンツ言語の設定
- コンテンツごとに対応言語を指定
- 言語スイッチャーモジュールを設置して、言語間で切り替えを行う
- 言語スイッチャーで指定しない場合はブラウザのデフォルト言語(ない場合はサイトで指定したデフォルト言語)で表示する
の4つの機能で構成されています。
標準機能だけを使って、多言語サイトを作るためには、
- メニューやカテゴリーなどのサイト構成を言語ごとに構成(大抵はコピー)
- 記事を翻訳して言語を指定
- 公開
の3ステップです。こう書くだけだと簡単そうですが、いくつか落とし穴があります。
- メニューやアイテム数が増えすぎる
- 標準機能では関連付けが
どうもなさそう面倒
言語ごとにアイテムを作っていくので、例えば記事が500個で4言語だと2000個の記事が出来上がります。タグなどもそれぞれコピーされるので、関連付けが非常に煩雑になりますし、管理する上でも翻訳しても記事のタイトルやキーワードなどのURLは共通するので、混乱の元になりそうです。
同じ記事の翻訳版をトラッキングする機能も着いていますが、関連付けをしておかないと言語の切り替えをしたときに自動で翻訳版に飛ばしてはくれません。
FaLang
JoomFishと名付けられていた拡張機能の後継です。フリーバージョンもありますが、無料で使う場合には機能が一部制限されるのと、バックリンクが挿入されます。
Joomla!標準の多言語機能とは互換性がありませんので、使うのを辞めたくなっても止められません。
JA Multilingual
個人的に好みの拡張機能です。JA Purity IIIやT3フレームワークといった、Joomlaを席巻するレスポンシブデザインテンプレートの開発元です。いつもお世話になっています。
無料バージョンしかないので無料です。Joomla!の標準機能を使いますが、BingかGoogleの翻訳APIを使ってすべてを自動で翻訳して、記事やメニューの関連付けもしてくれます。
難点は、自動翻訳された瞬間に公開されてしまうことと、(試した限りでは)デフォルト言語で作られた記事しか翻訳できないので、オリジナルの言語が複数種類ある場合(例えば、私が日本語の記事を書き、誰かに英語記事を書いてもらう場合)には厄介です。
その都度、デフォルト言語を変えると翻訳出来ます。その間、デフォルト言語が変わってしまうので、例えばドイツ語の人が検索で来た場合に英語ではなく日本語が表示されてしまうという事態になってしまいます。
Bing Translate
Yireoという開発者が公開しています。独立して働くわけではなく、Joomla!標準機能、FaLang、JoomFishの翻訳管理機能に、Bingの自動翻訳APIを使う機能と、自動翻訳を公開する前に確認できるようにする機能を追加する拡張機能です。
地味な上に有料(28.9ユーロ:約3600円)なので、Joomla拡張機能ライブラリ(JED)でレビューがついていません。
姉妹プラグインにGoogle Translateもあります。
GTranslate
自動翻訳拡張機能の定番のようです。一見自動翻訳ツールですが、(有料サブスクリプションでは)翻訳された内容を自分で書き換えられます。
無料バージョンではウィジェットを介した翻訳、有料サブスクリプションではAPIを使って配信されるようです。無料のウィジェットを介した翻訳では検索エンジンに認識されませんが、API翻訳の場合は別のページとしてインデックスされます。
Joomlaだけではなく、WordPressやDrupalでも使えます。たぶんFLEXIcontentとは共存できないのが難点です。
有料サブスクリプションでは、GoogleやBingへの支払いはありませんが、月間の翻訳量が3GB(月額10ドルの場合)です。数字を見ると、翻訳されたテキストを自サーバーに保存することはできないのではないかと思います。多分、JotCacheなど表示内容をキャッシュするプラグインならいけそうですが、CloudFlareでは再度呼びだされて帯域を使ってしまう感じです。
テキストだけで3GBですから、拙サイトの場合、CloudFlareの記録を見ると
- 当サイト:HTML用に使われる帯域は8%(1PVあたり約80KB)
- 別サイト:HTML用の帯域は15%(1PVあたり約110kB)
になっています。HTMLといっても全部がテキストではないのですが・・・すべてがテキストなら月間30000PV程度で3GBに到達してしまいます。現実的にはテキスト量を考えると半分くらいなので6万PV程度です。
アドセンスが付いているサイトなら許せる範囲かなというくらいですが、キャッシュが働けば余裕がありそうです。
15日間の無料トライアルがあるので、一度試してみたいです。
自動翻訳で済ませる場合
自動翻訳で済ませる場合にはもっと多くの選択肢があります。
が、日本語のサイトは自動翻訳の精度はかなり悪いです。以前より良くなってはいるはずですが、意味が全くわからないサイトになってしまうリスクもかなり高いです。
JV Bing Translator
Microsoft Bingの翻訳APIを使って自動翻訳をさせるようです。ドキュメントを見ても詳しく書いていないのでわからないのですが、評価は高いです。
APIを使っているというのが本当ならBingへの登録、場合によっては支払いが別途必要になります。
MultiTrans
こちらも評価が高い拡張機能で、BingとGoogleの両方を使えるようです。
登録が必要ないらしいので、APIは使っていないように思えます。そのうち試してみたいです。
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