cPanel代替管理ツールのaaPanelを使ってみる
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私が使用しているレンタルサーバーでは、cPanelという管理ツールが使用されています。
cPanelは、特に海外のレンタルサーバーでよく使用されていますが、使用料が月に最低15ドル必要なため、自宅サーバーや格安のVPSやクラウドコンピュータで使用する場合、本体価格よりも高くついてしまうため、使おうと思えません。
代わりの管理ツールとしてCyberPanelを導入して使用してみましたが、好みではなかったので、次に「aaPanel」というツールを導入してみました。導入も簡単で良さそうです。
aaPanel
aaPanelはオープンソース開発で、基本的には無料で提供されています。
aaPanelのインストール
インストールは、対応しているLinuxディストリビューションであれば、コマンド一つで簡単に終わります。対応ディストリビューションは他のツールよりも曖昧なようで、CentOS 7.1、Ubuntu 20.04、Debian 10以降のようです。(2019年5月時点)
CentOSは更新を終えたOSなので、最近代替として良く出てくるAlmaLinuxを使用しました。管理者権限で以下のコマンドを入力するだけです。
CentOS系
yum install -y wget && wget -O install.sh http://www.aapanel.com/script/install_6.0_en.sh && bash install.sh forum
aaPanelの標準インストーラーはAlmaLinux 9.xやRockyLinux 9.x系に未対応なので、違うコマンドでインストールすることになるようです。
curl -sSO http://www.aapanel.com/script/new_install_en.sh sudo bash new_install_en.sh forum
Ubuntu系
wget -O install.sh http://www.aapanel.com/script/install-ubuntu_6.0_en.sh && bash install.sh forum
Debian系
wget -O install.sh http://www.aapanel.com/script/install-ubuntu_6.0_en.sh && bash install.sh forum
インストール後のメッセージにURLとパスワード
以前試したCyberPanelと同じように、インストールの最後に表示されるメッセージにウェブコンソールにログインするための情報が出てきます。
今のグローバルIPアドレスとプライベートアドレスが表示されていて、7800ポートで接続して接続時に追加のURLが必要ということがわかります。
忘れてしまった場合は、SSHでログインして/etc/init.d/bt defaultで同じ画面を表示できます。btコマンドだけを打つとメニューを表示出来てユーザー名とパスワードを再設定できます。
aaPanelのウェブコンソールの入り方
他のツールと少しウェブコンソールを開く方法が異なります。他のツールだと、
https://<IPアドレス>:<ポート番号>
が一般的ですが、aaPanelの場合は、
https://<IPアドレス>:<ポート番号>/<インストール時に決められた8文字の英数字>
です。ポート番号まで正しくても、それだけでは管理画面を開けません。指定された8文字の英数字まで入れないと、ログイン画面が表示されません。ログインのためのユーザー名もランダムな英数字なので、ログインまでにはかなり手間がかかります。
ウェブサイトをローカル環境のプライベートIPで開く方法
メニューから「Website」→「Add Site」で新しいウェブサイトを登録できます。ドメイン名に普通にドメイン名を打って接続できる場合は良いですが、テストサイトや自宅サーバーの場合など、ドメイン名を取得していない場合には、ドメイン名としてローカルのプライベートIPアドレスを入れると、接続できるようになります。
サーバーソフトウェアのインストール
aaPanelをインストールした段階では、(多分)ウェブサイト表示用のウェブサーバーがインストールされていない状態です。管理画面自体は表示できているので、各所の表示などを見るとnginxが動いているっぽいですが、ウェブサーバーも含めてインストールが必要です。
メニューから「AppStore」を選ぶと一覧が表示されますので、各種プログラムをインストールしていきます。
ウェブサーバーはApache、nginx、OpenLiteSpeedから選べますが、データベースはMySQLしか表示されていません。その一方、PHPはバージョンごとにたくさん表示されています。
AlmaLinux9系にOpenLiteSpeedを入れたい場合は、2023年5月時点では手動インストールになるので、AlmaLinux 8.7の方が良さそうです。
MySQLは、インストール時もしくはインストール後にMySQLかMariaDBを選び、さらにバージョンを選ぶ必要があります。インストール後に変更したい場合は、現在あるデータベースを破棄してデータベースをインストールし直さないといけないので、バックアップ・リストアはできますがバージョン選択を慎重に行う必要があります。また、サーバーに割り当てられているメモリ量によって、「このバージョンは推奨できません」と表示され、インストールができなくなることがあります。
今回は1.5GB程度を割り当てた仮想サーバーでしたが、MariaDBの新しいバージョンは入れられず、入れられる中での最新バージョン、MariaDB 10.4になりました。
PHPは、ウェブサイトごとに選択できますので、多数のバージョンをインストール可能です。ただし、ウェブサイトごとに拡張を選ぶことはできないので、同じバージョンを選んだサイト間では拡張機能は同じものを使うことになります。
ウェブサイト構築
メニューから「Website」を開いてサイトを追加していきます。WordPressだけプリインストール可能ですが、バージョンが古いようなので、Zipファイルからのインストールの方が良いと思います。
WordPress、その他CMSを導入する場合、AppStoreでMySQLをインストールしておくことと、サイト用のデータベースを用意しておく必要があります。
データベースはメニューから「Databases」で追加できます。データベースのルートユーザーのパスワードはこの画面から変更可能で、ユーザー情報も表示・変更できるので便利です。
ファイル転送
「Files」メニューでZIPファイルを送って解凍することができます。FTPを使って転送してから「Files」で解凍しても良いですが、巨大なファイルでなければウェブツールで十分だと思います。
ホーム画面
ホーム画面はシンプルですが、必要になりそうな情報が詰まっています。バージョン、OS、再起動ボタン、アップデートボタン、サーバーの負荷、稼働中のサイト数、対応したほうが良い事項、現在のディスクとネットワーク帯域、が1画面でわかります。
表示されているセキュリティリスク2件をクリックして開いてみると、データベースのバックアップを取る設定があるか確認してください、SSLの証明書がないですよ、という2件でした。見やすくて良いです。
インストールされているアプリのうち、表示を指定したプログラムの設定メニューを開くこともできます。画面では、現在インストールされているプログラムが全部表示出来ています。
その他
サーバーへのSSH接続やCRON、Docker管理も管理画面から簡単に行えます。「Security」を見ると空いているポートの確認やログ表示もできます。有料ツールへの誘導部分は、ホーム画面のごく一部、AppStoreの有料ツール表示画面、メニューの「WAF」だけで、基本的に使える機能ばかりが表示されているので好印象です。
WordPressやJoomla等のインストール
とても使いやすくて見やすい画面で気に入りました。Softaculousほどではないですが、CMSなどのアプリインストールもプラグインをインストールすれば可能です。
Softaculousの代替プログラム
調べていると、Cloudron、CapRover、Bitnamiなどの名前が挙がっては来ます。
CapRover、Bitnamiはインストールしてバックアップは何とかできそうですが、バージョン管理までは難しそうです。
Cloudronは、対応アプリならアップデートその他高機能に管理できるツールのようですが、無料プランでは2つまでの制限があるのと、WordPressやNextCloudなどのツールは対応していましたが、JoomlaやDrupalは非対応でした。
Softaculousのライセンス
Softaculousのウェブサイトを見てみると、物理サーバーで年間24米ドル、VPSだと年間12米ドル、とこの手のサブスクリプションプログラムとしては破格の安さでした。
フリープランでも59種類のスクリプトを使えますが、WordPressその他よく使うものは一つも入っていませんでしたので、多数のサイトを作るならSoftaculousライセンスを買うのが良いと思います。
aaPanelのone-click deploymentプラグイン
AppStoreから、one-click deploymentプラグインをインストールすると、WordPressその他アプリをインストール可能です。
対応ウェブアプリは、
- Grav、(Grav-admin?)
- RoundCube
- Laravel
- Joomla
- Drupal
- WordPress
と多くはありませんが、無料ツールでWordPress、Joomla、Drupalすべて対応していました。クリックすると、ドメイン名をセットするだけでインストーラーが起動しました。ただし、インストール可能バージョンは選べないのと、インストール後に管理するようなSoftaculousのような機能はありません。
データベースのセットアップはone-click deploymentが行ってくれましたが、インストーラーでデータベース情報等を入力することは自分で行う必要がありました。Softaculousのようにはいきませんが、無料ツールであることを考えるととても嬉しい機能です。
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