「最後のWindows」と言っていたのに出てしまったWindows 11が公開されたのは2021年10月5日です。記事作成時点(2022年9月下旬)ではWindows 10からWindows 11へのアップグレードは無料です。これまでのWindows無償アップグレードの記録からすると無料期間が10月5日で終わってしまう可能性があると言われています。
滑り込みで、手持ちのパソコンに対してWindows 11へのアップグレードを行いました。
Windowsの「使用期限」
マイクロソフトのサポート期限
そもそも、Windows 10からアップグレードする理由は何かというと、マイクロソフトのサポート期限です。「使用期限」というわけではないですが、期限が過ぎると基本的なセキュリティアップデートもなくなってしまいます。
一部のセキュリティパッチについては、すでにサポート期限が過ぎたWindowsに対しても配布されることがあります。


最近出ていたものは過去のWindowsから最新のWindows 11まで、ずっと抱えていた脆弱性に対してのパッチです。今回は2020年1月にサポート期限が切れたWindows 7とWindows Server 2008に対しても配布されました。今回はたまたまサポート期限ぎれのOSに対してもパッチが公開されましたが、それ以外、普段あたっているパッチで対応されている脆弱性がWindows 7にないのかはわかりません。
そして、Windows 7にはパッチがあたりましたが、サポートが終了しているWindows 8にはパッチがありません。(Windows 8はたぶん今でもWindows 8.1へアップグレードできるので、そちらを使えということではあります。)
サポート期限がきれたOSを使い続けるということは、コンピューターウイルスやマルウェアに付け入るスキを残したままということになるので、極力避ける方が無難です。
Windowsのサポートライフサイクル
Windowsは発売後5年間は積極的に新機能追加などが行われるメインストリームサポート、その後5年間は延長サポートとされてきました。Windows 10は2015年7月29日発売でしたが、これまでのWindowsと異なり、アップデートパッケージから18か月のサポートを繰り返しています。

思い出深いWindows 3.1から並べてみます。
リリース | サポート終了 | ライフタイム | 最新だった期間 | |
Windows 3.1 | 1990/5/22 | 2001/12/31 | 11年7か月 | 5年6か月 |
Windows 95 | 1995/11/23 | 2001/12/31 | 6年1か月 | 2年8か月 |
Windows 98 | 1998/7/25 | 2006/7/11 | 7年11か月 | 1年6か月
(2年1か月) |
Windows 2000 | 2000/2/18 | 2010/7/13 | 10年4か月 | 7か月
(9年8か月) |
Windows Me | 2000/9/23 | 2006/7/11 | 5年9か月 | 1年1か月 |
Windows XP | 2001/10/25 | 2014/4/8 | 12年5か月 | 5年3か月 |
Windows Vista | 2007/1/30 | 2017/4/11 | 10年2か月 | 2年8か月 |
Windows 7 | 2009/10/22 | 2020/1/14 | 10年2か月 | 3年 |
Windows 8 | 2012/10/26 | 2016/1/13 | 3年2か月 | 1年
(2年8か月) |
Windows 8.1 | 2013/10/26 | 2023/1/10予定 | 9年2か月 | 1年8か月 |
Windows 10 | 2015/7/29 | 2025/10/14予定 | 10年2か月 | 6年2か月 |
Windows 11 | 2021/10/5 |
Windows NT系列のWindows 2000はちょっと例外ですが、サポート期間もバージョンによって大き違っていて、10年サポートになっているのはWindows 2000/XP以降ですね。私はWindows Me、Windows Vista、Windows 8、Windows 8.1は使ったことがないのですが、Windows Meを飛ばしてWindows 98からWindows 2000/XP、その後Windows 7という人は結構多いのでないでしょうか?
Windows 10の「サポート期限」
Windows 10は何度か大規模アップデートを繰り返しており、アップデートパッケージごとにサポート期限が異なります。そういえば、Windows XPもサービスパック(SP)という名前でWindows XP SP2は2010年7月14日、Windows XP SP3はWindows XPの最後、2014年4月8日までサポートされていました。
Windows 10の場合は、アップデートのリリース日がわかるようになっていて、Ver1507(TH1)、Ver1511(TH2)、Ver1607(RS1)、Ver1703(RS2)、Ver1709(RS3)、Ver1803(RS4)、Ver1809(RS5)、Ver1903(19H1)、Ver1909(19H2)、Ver2004(20H1)、などとなってきました(上記サイトより改変して転載)。2019年からリリース年+1番か2番のような名前がつき、2020年からはそれだけになりました。
- Ver20H2 2020年10月13日リリース、サポート終了2022年5月10日
- Ver21H1 2021年5月18日リリース、サポート終了2022年12月13日予定
- Ver21H2 2021年11月16日リリース、サポート終了2023年06月13日予定
最終的に2025年10月までサポートされるので、2024年に24H1まででるのか、23H2などで終わるのか、といったところです。
特に現行のWindows 11はかなりWindows 10に近いです。現在でもWindows 7にも時々パッチが当たるように、2025年を超えても何かしら提供されるとは思います。ただ、公式サポート外になると大手のアンチウィルスツールが対応外になったりもしますので、危ないと思います。
Windows 11のサポート期限
Windows 10と同じく、Windows11もアップグレードパッケージのバージョンごとにサポート期限が決められています。
バージョン | 販売名 | OS ビルド | リリース日 | サポート期間 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
|
|
|||||
21H2 | N/A | 22000 | 2021年10月5日 | 2023年10月10日 | 2024年10月8日 | |
22H2 | Windows 11 2022 Update | 22621 | 2022年9月20日 | 2024年10月14日 | 2025年10月14日 |
(Wikipedia「Microsoft Windows 11のバージョン履歴」より改変して転載)
特殊販路のEnterpriseやEducationを除いて発表から2年でサポート期限が到来します。毎年新しいパッケージが出る場合、使用バージョンが期限切れするまでの1年間にアップグレードすればよいことになります。逆に言うと、毎年アップグレードが必要ということです。普段からWindows Updateを行っていればあまり意識せずにアップグレードできると思いますが、そうでない場合は結構面倒です。
Windows 10をアップグレードするのは?
Windows 10は今でも買える。が・・・
2025年まではあと3年しかありません。2020年に購入したパソコンなら5年の期限ですが、Windows 10はダウングレード権使用などで現在でも手に入ります。私も、最近も職場用にWindows 10のパソコンを購入しました。少なくとも耐用5年までは使わないといけないため、サポートが切れるのは困ります。
Windows 8の二の舞にはならない気がする
かつて、Windows Me・Windos Vistaは短命だったり、Windows 8はあまりにも不評だったり、ということがありました。Windows 8は、アップグレードしたら戻すための方法が話題になったりもしたと思います。
Windows 11への移行は、「Windows Vista」「Windows 8」への移行時のような“大惨事”を招くのか。「Windows 7」への移行のように社内から歓迎されるのか――。IT担当者が不安な気持ちでWindows 11に接するのは当然だ。

Windows 10は既に長期間安定していて、Windows 11はWindows 10の正統進化的なOSなので、アップグレードして失敗は基本的にはないかなあと思います。若干、使いにくいところはありますが。

イントラネット用パソコン
家で使っている私用のパソコンは既にWindows 11になっています。が、職場用のパソコンはインターネット非接続(ということになっている)です。なんだかんだ、インターネット非接続といいつつも完全にオフラインでは居られない、現代のパソコンなので実は一番ハイリスクなのではと思います。
さらに、職場にWindows XPまで現役で稼働している(し交換もおいそれとはできない)状況です。どうしようもないですが、結構そういう環境の職場は多いのではないかと思います。
できるだけリスクを軽減するため、Windows 10ではなくWindows 11にしておきたいのです。インターネットに完全にさらすわけにはいかないのが大問題ですが。
Windows 11へのアップグレードするには?
アップグレード支援?

アップグレードを支援してくれるツール!ということで記事を見てみましたが、個人的にはあまり関係なさそうでした。
「Windows 11 and Office 365 deployment lab kit」はクライアント端末管理ソフトウェアの「Microsoft Endpoint Configuration Manager」を試してみたい気がするのでちょっと使ってみたいです。

「Windows 11 Onboarding Kit」は、マイクロソフトのページに紹介されていますが、ダウンロード先が見つかりませんでした。TechTargetの記事は2022年9月付けなので、どこかにあると思うのですが・・・。
パソコンを更新する場合
Windows 11に対応しないパソコンの場合、新しくWindows 11搭載パソコンを導入することになります。これまでのWinodowsパソコンからデータやアプリ、使用アカウント情報などを抜き出して移行するツールがあるので、利用すると良いでしょう。

PCmover
Microsoft Storeからダウンロードして無料で使用することもできるツールです。が、評価数は少ないmおののストアでの評価が非常に悪いのが謎です。
AOMEI Backupper
バックアップツールですが、無料エディションでもアプリの移行もできるようです。バックアップ作成に使ってみようとしたことがありますが、中国メーカーだし、微妙なところで使いにくく断念した記憶があります。
EaseUS Todo PCTrans
こちらは使用したことはありませんが、結構よく見かけるブランドです。EaseUSも中国製ブランドで、「成都易我科技开发有限责任公司」の製品だそうです。
安全なの?というサイトがありましたが、「PR」記事で、そして中身が薄っぺらい・・・。

結構よく見かけるし、一応大丈夫そうには感じます。データ移行が必要ならこのソフトが一番ではないでしょうか?
2025年に探せばいいかも?!
パソコンを買い替える場合は、今現在の時点で遅くて困っていなければ、サポート期限の来る2025年までは使用を続け、2025年にゆっくり移行すればよい気はします。2025年には、もっと良いツールが出ているか、EaseUSなりAOMEIがもっと使いやすくなっていると思います。
現在でも、Amazonで見てみると結構移行ツールがありました。
ツールが複雑で期待感が高くなりがちなカテゴリーの製品だと思うので、評価がきつめなのだとは思いますが、星が少ないですね・・。
一般的なアップグレード方法
Windows Updateを使ってアップグレードするのが一番一般的な方法だと思います。確実で簡単だと思います。
Windows互換性チェックツール(PC正常性チェック、という謎の名前ですが)があるので、ダウンロードしてインストール、実行するとWindows 11へのアップデートを開始することができます。または、Windows Updateで「KB5005463」をインストールするのも同等です。
ManageEngine Endpoint Central
今回は、クライアント端末管理ソフトウェアのZoho社、ManageEngineブランドのEndpoint Central(改名前はDesktop Central)を使ってWindows 11へのアップグレードを試してみました。
結論から言うと、使用を断念しました。ソフトウェアインストール機能を使いこなしている人なら行けると思いますが・・・。さっぱりです。
Windows 11インストール用スクリプト
簡単にできそうなスクリプトが配布されているので使用してみましたが、うまく行きませんでした。
見てみると、PowerShellのスクリプトファイルが本体でそれを起動する感じで動作しています。作動させると、ダウンロードが始まって動作している雰囲気はあり、パッチ用のディレクトリができて停止しています。管理コンソールからは、「成功」「エラー」がどちらも出ました。何度か試していたら、管理エージェントが作動しなくなってしまいました。
中身を見てみると、
(Get-WmiObject Win32_OperatingSystem).OSArchitecture
で現在の動作環境を取得して、「64-bit」なら、解凍プログラムのインストール先が
C:\Program Files (x86)\DesktopCentral_Agent\bin\7z.exe
にあるはずで、そうでなければ、
C:\Program Files\DesktopCentral_Agent\bin\7z.exe
と条件分岐していました。日本語環境だと、「64-bit」ではなく「64 ビット」です。そこを改変してみましたが次のどこかのステップでパーミッションエラーが出て失敗していました。
日本で売られているとはいえ全ての機能が日本語対応ではないし、情報が英語メインなので厳しいですね。それ以上いじるのはあきらめることにしました。
コマンドラインでWindows 11へアップグレード
プリミティブな方法でコマンドラインからアップグレードをすることにしました。
Windows11のダウンロード
ManageEngine Endpoint Centralを使ってアップグレードする場合も、Windows公式サイトからアップグレード用のディスクイメージのダウンロードが必要でした。
ここから、ファイルのダウンロードを行います。
Windowsのインストレーションアシスタント、インストールメディア作成ツールの下に、Windows 11ディスクイメージのダウンロードが選択できます。
Windows 11 (multi-edition ISO)を選び、
Downloadをクリックし、言語を日本語版ならJapaneseをクリックすると24時間有効なダウンロードリンクが作成されますので、64-bit DownloadをクリックするとISOファイルがダウンロードされます。
URLは、「software.download.prss.microsoft.com/dbazure/Win11_22H2_Japanese_x64.iso?t=何某&e=何某&h=何某」、でダウンロードされるファイルは現時点での最新Windows 11 22H2です。前のWindows 11 21H1からのアップデートもできるっぽいです。
先ほどのManageEngine Endpoint Central PowerShellスクリプトでは、
/auto upgrade /DynamicUpdate disable /ShowOOBE none /quiet /noreboot /compat IgnoreWarning /BitLocker TryKeepActive /EULA accept
をオプション指定していました。
バックグラウンドでアップグレードする必要はないのとBitLockerは使っていないし謎なこと、よくわからないオプション(コマンドラインで指定するとエラーになる)を除いて、
/auto upgrade /DynamicUpdate disable /ShowOOBE none /noreboot /compact /EULA accept
を指定したバッチファイルを起動したところ、しばらく何度か再起動した後、最後に手動で再起動したら無事にWindows 11へアップグレードできました。ルートディレクトリ下に\Windows11Setupという作業ディレクトリが勝手にできているので、削除したら終了です。
最初に実行許可を出した後、途中は進捗状況が表示されキャンセルボタンが表示されているだけでアップグレードできるので、これなら少しの手間で全体にWindows 11を適応できます。
最初に環境チェックも入っていたので大丈夫だと思いますが、Windows 11非対応端末で行った場合にどうなるかは不明です。
したがって、ISOファイルを解凍したものを用意するか、PowerShellスクリプトでISOファイルをマウントするように設定しつつ、実行するということになります。

解凍してWindows11ディレクトリに入れておき、
set NETPATH=<NASのアドレス> set NETWORKDRIVE=\\%NETPATH%\Drive cmdkey /add:%NETPATH% /user:<NASのユーザー名> /pass:<NASのパスワード> net use X: %NETWORKDRIVE% X:\Windows11\setup.exe /auto upgrade /DynamicUpdate disable /ShowOOBE none /noreboot /compactOS /EULA accept cmdkey /delete:%NETPATH% net use X: /delete
もしくは、
set NETWORKDRIVE=<NASのアドレス>\Drive net use X: %NETWORKDRIVE% <NASのパス> /USER:<NASのユーザー> X:\Windows11\setup.exe /auto upgrade /DynamicUpdate disable /ShowOOBE none /noreboot /compactOS /EULA accept net use X: /delete
でいけそうです。後者を試したら、ファイルアクセスに権限ウィンドウが出てきてしまったので、前者で行くことにしました。何もウィンドウが表示されなくても良いなら、/quietオプションをつけると良いですが、進捗状況が見られないと不安になるので、ないほうが良いですね。
/quietオプションをつけても、タスクマネージャーを見ると動作しているのはわかりますが、エラーが出ても見えないのは不安です。
終了後、再起動するとWindowsが再構成されて無事にWindows 11にアップグレードできました。この状態でバックアップを作成しておけば、フレッシュな状態に戻せます。

最終的には、
set NETWORKDRIVE=<NASのアドレス>\Drive net use X: %NETWORKDRIVE% <NASのパス> /USER:<NASのユーザー> X:\Windows11\setup.exe /auto upgrade /DynamicUpdate disable /ShowOOBE none /EULA accept net use X: /delete
で落ち着きました。/norebootがあると、アップグレードが終わってからの再起動がなく、終わったのかどうかわからない場合があるし、最後の再起動後も結構時間がかかります。/norebootなしだと、再起動後の「もう少しです」まで済ませた状態で待っていてくれるのでベターと思います。
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